徹底レビュー!|コンパクトな制作環境を構築するオーディオインターフェース、Audient iD4

レコーディングスタジオのコンソールとして、既に海外では定番ブランドとなっているAudient。

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相反してオーディオインターフェースでは、「iD22」 「iD14」とよりコンパクトな筐体にそのノウハウを落とし込んだプロダクトをリリースしています。

そんなAudientのコンセプトを受け継いだ新製品、Audient 「iD4」を今回は徹底レビューいたします。
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レビューを通して感じたことは、価格が2万円台でありながら「今求められているポイントをしっかりと押さえられられている。」ということ。
制作システムの中核として自信を持ってお勧め出来るプロダクトと言えます!

 

「今」あるアイディアを失わない、制作効率の追求

まずは外部筐体から見ていきましょう!筐体を見ると、少しオーディオインターフェースを使ったことがある方なら誰でも想像がつくような文字とノブが並んでいます。
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あえて複雑な機能を持たせず、シンプルにデザインされたことに好感が持てますね。持ってみると安定感がありつつもポータブルに持ち運べる絶妙な重量感!完全バスパワー駆動ということも相まって、いつでもどこでも音楽制作が始められるようになっています。

入力とDAWのプレイバック音をブレンドしてモニタリングバランスを作るシステムは古くからありますが、シンプルが故に実は一番レコーディングするまでの時間が短縮できるんです。

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MONITOR MIXノブを左に回し切るとLEDが入力メーターに切り替わりますから、ギターやマイクを繋いでササっとレベルを合わせて、バックトラックとちょうど良いところでバランスを取ってレコーディングスタート、、、

といった一連の操作がなんとなく想像できませんか?

シンプルが故に、「今、必要だな。」と思った機能へのアクセスも簡単。使用方法も簡単なのでとても間口の広いオーディオインターフェースです。

 

恒例の出音からレビュー!

まずは設定から。Windowsはドライバーインストールが必要ですが、Mac OSだとUSBに挿せばそのままアッサリ起動しました。メーカーによると、「iD4」の場合はMac用ドライバーはファームウェア・アップデートのみに使用されるとのことです。

では早速音源を聴いてみましょう。常に同価格帯の中でも、ワンランク上のサウンドを目指すことを心がけているAudient。「iD22」「iD14」でもそこは健在でしたが、「iD4」はどうでしょうか?

「♪♪♪」

、、、さすがといったところです。解像度の高いサウンドは正にワンランク上の正統派のサウンドで、どちらかといえば派手さよりも聞きやすさ重視な傾向。ローエンドも量感があるので、低域のバランス感も見やすいですね!音に対する知識のある人がデザインしたんだなと、一聴してわかります。もちろん、中域から高域もしっかりと伸びているので、安心してくださいね笑

よく、巷ではAudientは低音重視な傾向があると言われていますが、ローエンドの量感が無いインターフェースだとしっかりと低域をモニターできないケースがあります。

例としては、
「自宅でミックスした音源をライブハウスで流したら低音が回りすぎてよくわからない感じに、、、」「スピーカーでミックスしたものをイヤフォンと携帯プレーヤーで聞くと、キックやベースの低域が大きすぎてミックスやり直し…」

経験はありませんか?

最近は低価格でも性能の良いインターフェースが各社から出揃っているとはいえ、この価格帯だと少し派手めなサウンドキャラクターを出してくるメーカーが多いです。

ハイ上がりなインターフェースだと基音(音を作る、最低音の周波数)よりも倍音が目立ちすぎてしまい、ミックス中はそこまで低域が気にならなくなってしまうんですね。そこで制作した音をドンシャリ傾向のある一般的な再生環境にに持ち出すと……上記のようなことが起こりやすくなってしまいます。

Audientのサウンドはきちんとそのバランスが考えられているので、EQをしても周波数の前後関係がわかりやすく、トータルとして良いバランスが得られると思います。

もしチャンスがあれば、各インターフェースをYAMAHA NS10Mや小口径スピーカーのような、あえて低域の量感が少ないとされるスピーカーで聴いてみてください。すぐに違いがわかると思いますよ!

 

標準プラグとステレオミニの2出力を搭載したヘッドフォンアンプ

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ヘッドフォンアウトもしっかりと独立アンプなので、嫌な歪み感やピークもなく、プロ向けのヘッドフォンもしっかりとドライブ可能。定位感も分かりやすく、楽曲の持つレンジ感が分かりやすいです。ここも抜かりなくディスクリートで設計されており、評価の高い「iD22」と同様の回路で組んであるとのことなので、安定の音質と実績です。
Audientはヘッドフォンとスピーカーアウトのサウンドキャラクターがマッチしているので、サウンドの印象が大きく変わらないことも好感が持てます。

さらに朗報!ヘッドフォン端子が標準ジャックとステレオミニの両方用意されているので、変換プラグを紛失しても安心です(製品パッケージにも書いてありました笑)
二人作業をする時も、両方のジャックが使用可能なので便利です!なかなか無い装備ですね!

レコーディングコンソールで培ったテクノロジーを受け継いだマイクプリアンプ

Audientといえば、やはりマイクプリアンプ!兄弟機である「iD22」「iD14」もそうですが、サーキットデザインは一貫してAudient ASP8024コンソールと同等のものを使用しているとメーカーは言っています。外部電源を持つ「iD22」と比べるとUSB電圧しかチョイスが無いiD4では少し差はありこそすれ、そこは価格差と利便性を考えてお選び頂ければ良いと思います。

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しかし、しっかりとディスクリートクラスAで組まれた回路で生み出すAudientサウンドは健在です!省エネ設計でいかに効率良くアンプをドライブさせるか…。
これは大きなコンソールになればなるほど必要なので、こうしたコンソール設計の技術が随所に活かされているのだと思います。しっかりと電圧を確保するためにあえて1chのマイクプリアンプに絞ったのでしょう。

音色は出音の印象と同様、しっかりとローエンドの量感を保ちつつ、トップエンドまで情報量をしっかりと持っています。音楽的な倍音をリッチに付加させたサウンドは、クリーンではないですが非常に扱い易く、様々な楽器の収録で良い結果を得られると思います。

D.IセクションもJFETを用いたディスクリートで組まれており、ウォームで倍音に富んでいるのでミックスでも抜けますし、エフェクトの掛かりも非常に綺麗です。

また、ファンタム電源をバスパワーのままかけられるところも大きなポイント!しっかりとファンタム駆動させる場合、バスパワーインターフェースも外部アダプターが必要な場合が多いのですが、「iD4」では必要ありません。無駄なケーブルも増えず、デスク周りもスッキリですね!

 

Monitor PAN機能

「iD4」は、MUTEボタンとiDボタンを同時押ししている間にエンコーダーを回すと、マイクプリアンプ(Ch.1)とD.I(Ch.2)のモニター入力を左右にパンすることができます。

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少しパンを振るだけで聞こえがよくなったりするので、よりモニタリングし易くなりますし、弾き語りを収録するときもラインギターとボーカルを左右に振りきって分かりやすい状態でレベル調整して、センターに戻すというような、ちょっとした時に便利な機能です。上位機種のように多機能ではないので、こうした痒いところに手が届く機能は本当に便利です!

まとめ:クリエイター目線でデザインされたコンパクト・オーディオインターフェース

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バスパワーによる高い機動性と、どこでも音楽制作が始められるというポイントに焦点を当てて作られた「iD4」。高い音質とそれに裏打ちされたフィロソフィーはさすがの一言でした。

昨今主流のコライト作業(複数人で楽曲制作)の場合、アイディアが出た瞬間に「すぐ録れる」「高音質で判断できる」というファクターは非常に重要になります。

もちろん、上位機種の「iD22」もそうですが、より高額なプライスレンジで最高の音を奏でるインターフェースはたくさんあります。プロの現場で得た経験を、一般ユーザーラインに落とし込むその流れは、F1と市販車の関係を彷彿とさせますね。必要な機能を搭載し、問題の無い高音質でレコーディング出来るオーディオインターフェースこそ、今クリエイターが本当に求めているシステムなのかもしれませんね!

 


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