Roland Boutiqueシリーズ初のコラボモデル・SE-02のポイントをピックアップ!
本日7月28日、遂に発売となったRoland Boutiqueシリーズのニューモデル・SE-02。
BoomstarシリーズやOMEGA8など、往年の名機の美点を現代的なアレンジで見事に表現する技術力に定評のあるStudio Electronics社とのコラボレーションによって生まれたこの小さなモンスターアナログシンセのポイントをご紹介します!
SE-02の音源部はフルアナログ回路で構成されているので、当然のことながら熱による基準ピッチの揺らぎは発生して然るべき。
電源を入れて、部屋の温度湿度に合うように暖気をじっくりして、15分…30分…Tuneツマミをひねって調整…しばらく弾いているうちに音程が上ずったりぶら下がったり、でまたTuneツマミをひねって調整…というチューニング儀式(?)はアナログシンセの愛される点でもあり、また逃れられない悪癖でもあります。
しかしながらこのSE-02、温度補償機能を搭載した恩恵により、電源オンですぐ弾き出してもまったく問題ないレベルで安定したピッチでの演奏が可能。
実際数時間に渡って演奏を続けましたが、チューニングの為にTUNEツマミをいじることは終ぞなかった…という驚きの体験でした。
SE-02はアナログシンセでありながら、さまざまなパラメーターを表示する3桁ディスプレイウィンドウを装備しています。
現代的なデジタルシンセの大型ディスプレイに慣れ親しんだ方には不安になるしかないこの情報量の少なさで、パッチの切り替えはおろか内蔵シーケンサーなんてどう使えばいいのか…
答えは全て、パネルに書かれています。
本体下部の四角いスイッチたちの機能はPATCHモード、SEQ(シーケンサー)モード、SONGモード、といった形で割り当てがなされており、VALUEツマミ右のスライドスイッチを切り替えることでモードの切り替えを行う、という感じで扱えます。
操作したい機能の為にいちいちウインドウの階層を潜っていく必要がなく、非常に簡便、かつリニアでスピーディな操作を楽しむことができるので、演奏中には音楽的なことだけをアタマの中に置いておきたい根っからのミュージシャン、プレイヤー志向の方には特に嬉しいところかと思います。
SE-02はノート、ゲート・タイム、グライドのパラメーターを記憶可能なステップシーケンサーに加えて、デジタルディレイも搭載しています。
ここで「アナログディレイじゃないのか…」と落胆するのは早計というもの。
BOSS DDシリーズで言うところの「ANALOG」や「TAPE」にも似た柔らかな質感のトーンを持っており、SE-02そのものの図太いサウンドも相まって、デジタルディレイである、ということは一聴しただけはまず気づかないレベルに仕上がっています。
デジタルディレイならではの精度の高いTIME設定を生かして、ステップシーケンサーのフレーズを一際トリッキーに聴かせたりすることもできますし、REGENを全開にしてあげればかなり早い段階でリピート音が飽和し発振サウンドも楽しめます。
本体自体が非常にコンパクトなSE-02に対して、わざわざアナログディレイを別途用意する、というのはさすがに考えにくいところですので、このオンボードディレイはちょっとしたスパイスでありながら正しく絶妙な「機能」と言えるでしょう。
コダワリ派の方ならば、BITRAZERやDEMORAなどAIRAモジュラーと組み合わせてみるのも面白そうですね。
甚だ簡単ではありますが、SE-02のポイントをご紹介させていただきました。
音が太い、フィルターのキレがスゴイ、LFOが変態的にエグイ…という辺りの「アナログシンセの当たり前」は言うまでもなく高次元でまとまっていますし、Boutiqueらしい可愛らしさや内蔵スピーカーの再生力なども有していますので、Boutiqueシリーズをコンプリートしたい!というブティークマニアの方だけでなく、普段シンセを弾かない方にもぜひ一度手に取っていただきたい一品です。