機材の接続に関するあれこれPart1
渋谷店デジタル担当の鳴尾です。
本日は店頭でもお問い合わせの多い、ケーブルや端子など機材の接続に関してご説明させていただきます。
内容が長くなってしまいそうなので、何回かに分けてご紹介します。
プラグやジャックの種類
音楽機材用途で使われるものだけでも相当種類になりますが、代表的なものを。
ちなみに、プラグ(差し込む側が)「オス」、ジャック(差し込まれる側)「メス」となります。
ギターをはじめ、シンセサイザーなど幅広く利用され、最も使われているといっても過言ではないプラグです。
後述しますが、接続目的によりさまざまな利用方法をされます。
代表的なところでマイクの接続に使われます。通称「キャノン」これは「ITT CANNON」社が開発し販売したのでその社名が通称として呼ばれることが多くなっています。
その特徴としてオス側、メス側ともにロック機構が備わっております。(最近ではメス側にはロック機構がないものも多くなっていますが)
近年ではNEUTRIK(ノイトリック)社の製品も多く使われております。その理由としてはITT CANNONはケーブル作成時にコネクタにねじ止めが必要となっているのに対し、NEUTRIK製のものはねじ止め不要となっており、特にたくさんのケーブルを製作する必要のあるPA現場で時間の短縮にもなり重宝されたことから普及しました。
こちらは通称ピンプラグ、ピンジャックと呼ばれるものです。一般的なオーディオやDJ機器などによく使われています。
バランス(均衡)転送とアンバランス(不均衡)転送の違い
バランス転送は3つの端子で音声の転送を行う方式で「HOT(+)」「COLD(-)」「GND(アース)」の3つで構成されます。対してアンバランス転送は「HOT(+)」と「GND(アース)」で構成されます。
バランス転送は一般的に「ノイズに強く」「長く距離を引き回すのに適した」方式です。
「HOT(+)」の信号と「COLD(-)」の信号は通常逆相(波形の形が逆)となっているところに、外来からのノイズが入ってきます。これを受け側の機器でCOLD(-)の信号を正相に戻し、ノイズを逆相にしたうえで、HOT(+)の信号とミックスすることでノイズを打ち消します。
優れたバランス転送ですが、ケーブルやプラグ、回路が複雑になるためコストは高くなります。
3つのピンがそれぞれHOT、COLD、GNDとなっています。番号が振られていて、通常は1番がGND、2番がHOT、3番がCOLDとなっていますが、放送系の機材や、古いものには3番がHOTで2番がCOLDのものも存在するので注意が必要です。
TRSとは「TIP」「RING」「SLEEVE」の頭文字をとったもので、TIPがHOT(+)、RINGがCOLD(-)、SLEEVEが(GND)の信号を転送します。XLRに比べジャックが小さいためスペースが節約できるのがメリットとなっています。ここ最近使用できる機器が増えています。
↑YAMAHAの最新フラッグシップシンセMONTAGEにはTRSバランス出力が装備されています。
アンバランス転送はTIP(HOT)とSLEEVE(GND)のみのシンプルな構成なので、回路も比較的簡単で安価に利用できますが、外来からのノイズにはバランス転送と比べ弱くなります。前述のTRSフォーンに対してTSフォーンとも呼ばれます。
前述のRCAピンもアンバランス接続になります。アンバランス接続の場合、おおよその目安ですが5m程度までの接続にするほうが経験上無難かと思います。外来ノイズの影響を受けやすいので、ケーブルの引き回しの際は照明器具やパソコンの近くを通さないなどの配慮があればなお良しです。
アンバランスをバランスにするDIボックス
ライブなどでアンバランス出力しかない機器を長く引き回す際にDIボックスが使われます。アンバランスで入力された信号をバランス信号で出力することができ、前述のバランス転送の恩恵を受けることができます。シンセサイザーやエレアコなどでよく使用されることが多いと思います。
実際のライブハウスなどでは、ステージからミキサーまでの距離はケーブル長で30m以上あることは良くありますので、DIボックスでバランスに変換することはノイズ対策の面でも有効といえます。
今回はバランス接続とアンバランス接続にフォーカスを当ててご紹介させていただきました。次回以降はさらにいろんな接続方法などをご紹介できればと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました!