PA機材って何を揃えればいいの?
PAと言っても何を準備すればいいのかわからない。種類が多すぎてよくわからない。機材の扱いが難しそう。どれ位の容量を準備すればわからない。
ここでは、PAオペレーションを行う為に必要な機材と選び方をご紹介します!
PAシステムは、大まかに分類すると3パターンに分ける事ができます。
①パワーアンプを別途に用意するパッシブスピーカータイプ
②パワーアンプ内蔵のアクティブスピーカータイプ
③パワーアンプ・スピーカー・ミキサー一体型の簡易PAタイプ
※出力容量は「人数・面積・屋内・屋外・使用用途」から選びます。
①パッシブスピーカーでシステムを構築する場合
ライブハウスなどでは、このシステムが多用されています。
最大のメリットは、パワーアンプをラックに装備する事で電源の確保が容易となります。
その他にも、スピーカーとアンプが分かれている事でトラブル時の交換作業が楽になります。
アンプとスピーカーの組み合わせで音のキャラクターが変わるので、音響エンジニアの好みに合わせた組み合わせや、目的に合わせた音作りにも柔軟に対応できます。
デメリット・・・と言う程ではないですが、アンプとスピーカーが別々となっている為、チューニングが必要となります。
チューニング作業は知識や経験に左右される為、エンジニアによって仕上がりが変わります。
PAシステムを常設する場合は、一度チューニングをすればその後殆ど変更する事はありませんが、移動式など常設しない場合は設置する環境により鳴り方が変わる為、都度チューニングを行います。
簡易的な物としては、通常のアナログミキサーと同サイズのミキサーにアンプを搭載したパワードミキサーとパッシブスピーカーを組み合わせて、カフェやスタジオ等ちょっとした設備に最適な組合せもございます。
②アクティブスピーカーでシステムを構築する場合
ライブハウスなどでも使用される事がありますが、移動式のPAシステムに多くみられます。
スピーカーに内蔵されているアンプは最適にチューニングされている為、殆ど自分でチューニングを行わなくてもベストなサウンドが得られます。
メーカー毎にサウンドのキャラクターが異なりますが、どの製品もベストなチューニングが施されている為、専門的な知識が無くても簡単に設営ができ、良い音作りがし易いのが特徴です。
難点といえば重量がある事と、それぞれのスピーカーに電源供給をしなければならない為、電源の取回し・確保が必要となります。
③一体型PAシステム
スピーチや会議、路上ライブなど簡易的にPAが必要な環境で用いられます。
スピーカーとパワードミキサーが一体型となっており、簡単に持ち運びができるPAセットです。
屋内 100人: 100W アコースティックライブ、ストリートライブ、スピーチなど
屋内 300人: 300W 飲食店ライブ、カラオケ、演説など
屋内 500人: 500W 学園祭LIVE、ダンスイベント、クラブなど
屋内 700人: 700W コンサート、大規模ライブなど
◆屋外で使用する場合は、屋内人数の1~2割減を収容人数の目安にすると丁度良いです。
◆ワット数の目安は、出力するスピーカー全てのワット数を合計します。
◆収容人数が多いと音が吸収されるので、イベントによっては1サイズ大きめを選びます。
例)屋内300人の会場で、スピーカーをペア(2本)で鳴らしたい場合。
1本150Wのスピーカーを2本用意します。
スピーカーとアンプを選ぶときのポイント!
スピーカーの許容入力(PGM:プログラム)とパワーアンプの定格出力(RMS:実効値)を仕様表等で確認します。
同モデルのアンプでも、出力容量で音質は変わります。
◆スピーカーの許容入力値よりアンプの出力が小さい場合 (PGM > RMS)
アンプの出力をMAXにしてもスピーカーの許容入力値に達しない為、スピーカーが破損する事はないので安全に使用できます。
⇒アンプの容量を目一杯使うので、出力される音にストレスを感じる場合がございます。
◆スピーカーの許容入力値をアンプの出力が上回る場合 (PGM < RMS)
アンプの出力にゆとりがあるので、ゆとりのある音で出力されます。
※アンプの出力をMAXにするとスピーカーの限界を超える為、スピーカーが破損してしまます。
⇒スピーカー破損の対応策として、アンプのメモリに出力の目安となる場所へシールを貼るなどして超過出力を防ぎます。
例)出力300Wのパワーアンプを半分のメモリで止めれば150Wで出力されます。
オペレーションの要となるツールです。
規模や用途によりチャンネル数、アナログミキサーorデジタルミキサーを選びます。
◆アナログミキサーは画面操作が無い為、パネルのツマミを直感的に操作します。
◆デジタルミキサーは設定を保存できるなど様々な事ができます。エフェクトも充実しているのでシンプルな機材量で本格的なオペレーションが可能です。
オーディエンスへ向けて出力します。規模や環境によりサブウーファーを用意する等出力容量を決めます。
アクティブタイプorパッシブタイプを選べます。
◆アクティブタイプは所謂パワードスピーカーです。スピーカーにアンプが内蔵されているのでセッティングが用意です。
◆パッシブタイプはアンプが内蔵されていないのでパワーアンプを用意します。アンプとスピーカーの組合せで好みのサウンドが作れます。
アクティブスピーカー
スピーカー本体にアンプを内蔵。殆どのモデルでミキサーも搭載。スピーカー単体で音がでます。
パッシブスピーカー
ケーブルを接続する端子しかない。スピーカー単体では音が出ない。
メインスピーカーの補助的なスピーカーとして、低音を強調したり音に厚みを出す時などに使用します。
◆メインスピーカー同様アクティブタイプとパッシブタイプがあるので、メインスピーカーの仕様に合わせます。
◆ウーファーの出力容量は、メインスピーカーより大きな物を選ぶのがポイントです!
アクティブスウーファー
スピーカー本体にアンプを内蔵。殆どのモデルでミキサーも搭載。スピーカー単体で音がでます。
パッシブウーファー
ケーブルを接続する端子しかない。スピーカー単体では音が出ない。
演奏者にとって無くてはならない、重要なアイテムです。
モニタースピーカーには、フットモニター(転がし)とサイドモニター(横当て)があります。
◆モニタースピーカーにもアクティブとパッシブがあります。
フットモニター
各演奏者の立ち位置に配置するモニタースピーカーです。
演奏者毎の細かな要望に応える為のスピーカーです。転がしとも言われ、殆どの場合演奏者の足元に設置します。
サイドモニター
ステージ中を両サイドからモニターする為のスピーカーです。
横当てとも言われます。主にボーカルがステージ上で移動する時、フットモニターだけではカバーしきれない部分をモニターします。
ワンポイント!
モニタースピーカーは、フットもサイドもボーカルマイクが音を拾い、ハウリング現象が起こります。
ハウリングはスピーカーやマイクの種類により発生ポイント(周波数帯域)が異なる為、スピーカー毎にGEQ(グラフィックイコライザー)を用いて調整をします。モニタースピーカーの容量を上げれば演奏者は音を聴きやすくなりますが、その分ステージ中の音が大きくなる為、ステージ中の音は飽和状態となり客席側にも中音が漏れる為、結果として不快な音響となってしまいます。また、大音量で耳も傷めてしまう為、モニターしながら周りの音が聴き取れる位が丁度良い音量です。それに合わせてスピーカーのサイズを選ぶのがポイントです。
大音量のバンド、大編成、モニタースピーカーの設置が困難な場合、イヤーモニターをお勧めします!
モニタースピーカーの設置が不要な為、ハウリングが起こることもなく不要な音も出ないので、質の高いPAができるようになります。
パッシブスピーカーを鳴らす為に必要な機器です。
ミキサーにアンプが搭載されている「パワードミキサー」タイプもあります。
◆アンプの容量の選び方は、「出力容量の目安」の項を参照くださいませ。
◆パワードミキサータイプは、簡易的な小規模な設営に便利です。
パワーアンプ
ただ単純に音を鳴らすだけのモデルもあれば、クロスオーバーやデジタルネットワーク等様々な機能を搭載したモデルがあります。
パワードミキサー
持ち運びに優れた小型のモデルや、本格的なオペレートまで可能なアナログミキサータイプがあります。
アナログミキサータイプには殆どのモデルでGEQ/FXを搭載しています。
PAシステムには、用途により様々なプロセッサーがあります。
◆システムの構築や規模等により必要に応じて揃えます。
GEQ(グラフィックイコライザー)
スピーカーのチューニングに用い、スピーカー1台に対し1チャンネルを使用します。
チューニングをする事で不快な帯域をカットしたりハウリング帯域を調整する事ができます。
常設スピーカーは一度チューニングを行うと殆ど設定を変えることはございませんが、
仮設PAやモニタースピーカーは都度状況が変化する為その都度チューニングを行います。
クロスオーバー
サブウーファーを用いる際に、LOWとHIGH,MIDを帯域で分ける事で、音像がはっきりとします。
コンプレッサー
主にマイク入力に使用します。音圧を一定に保つことで安定した音量でオペレートできます。
ハウリング・サプレッサー
会場の特性に起因する固定のハウリングを除去するなど効果的にハウリングを除去します。
エンハンサー
低域の信号レベルを上げるだけでは得られないパワフルな重低音を出力できます。
マルチエフェクトプロセッサー
リバーブやディレイをはじめ、様々なエフェクターを搭載した万能プロセッサー
PAオペレートには、ミキシング以外にも操作があります。
ポン出しやBGM、映像演出に使用します。
CD・MD・カセットテープなどがあります。映像にはDVDやBDがあります。また、演奏内容を記録する為に録音する場合もあります。
◆オペレート内容により、そろえる機器は変わってまいります。
CD/MD プレーヤー
CD/カセットテープ プレーヤー
CD/メモリー レコーダー
DVD/BD プレーヤー
PAシステムには、電源の管理が欠かせません。
◆規模やシステムに応じて、必要な機材を揃えます。
パワーサプライ
電源の管理に使用します。電源を一括管理できるだけでなく安定した電源を供給します。
モデルによっては不要なノイズを除去し、過電流等が起きた際は自動でシャットダウンンする機能を搭載しています。
無停電装置
予期しない停電など、突然の電源ダウン時に機材の破損を防ぎます。
PAシステムが稼動中に電源がダウンすると「ボンッ!!」と大音量が鳴るだけでなく、アンプ・スピーカーや周辺機器が破損してしまいます。
電源がダウンすると自動でバッテリー駆動に切り替わり一定時間電源を供給し、PAシステムを安全にシャットダウンすることで機材の破損を防ぎます。
PAブースとステージの接続はスマートに!
◆規模やシステムに応じて必要なアイテムは変わります。
マルチボックス/マルチリンクケーブル
ステージとPAブースの接続では定番のアイテム!
マルチケーブル1本でステージをPAブースを接続できるので、配線がスッキリしトラブルも抑える事ができます。
ステージボックス
DANTE対応のデジタルミキサーの場合、ステージとPAブースはLANケーブルで接続するだけ。
マルチボックスを使用するより高音質で、より高度なセッティングが可能となります。
※LANケーブルは機種によりCat5、Cat6など、規格がございます、
何気にあると便利、ラックケース!
◆アウトボードやパワーアンプが多数ある場合、移動が楽になるだけでなく機材保護にも役立ちます。
キャスター付き ラックケース
重量のあるアンプやGEQなど、主にPAシステムのメインとなる機器を収納します。
パワーアンプは熱を持つ為、1~2U分のブランクを設けてマウントします。
ファン付きのモデルもあります。サイズにゆとりを持つことで熱籠り防止となります。
ショックマウント仕様 ラックケース
マウントレールとケースの間に緩衝材が入っているので、プレーヤーなど衝撃に弱い機器を収納します。
最後にスタッフより・・・
今回ご紹介いたしました機材や組合せは、ほんの一例でございます。
イベント内容や規模により組合せは様々なので、わからない事等ございましたらお気軽に当店スタッフまでお問い合わせくださいませ。
最適なセットをお見積りさせて頂きます!!
Pro ToolsはDAWソフトですが、コンサートではマニピュレーターが導入する例が多く見受けられます。
近年多用されるオケ(バックトラック)とバンドの同期に使用されるほか、アウトボードの代わりやライブ録音用としても使用されます。
実機なら1台数十万円以上するアウトボードも、Pro Toolsなら標準で全て入っています。
つまりはPC内で、ポン出し・同期・演奏録り・アウトボードが完結します!しかも高音質!!
(PCのスペック、オーディオインターフェースの性能によります)
デジタルミキサーの普及にともない、少ない機材量でより質の高い高度なPAシステムの構築が可能となっている為、アウトボードもプラグイン化し、マルチライブ録音に対応したりなど、Pro ToolsはPAシステムの一部としても多く導入されております。
Pro ToolsをPAに導入するのが当たり前の時代はすぐに来るかも?・・・もう来てる?