【徹底解剖】nord stage3 試奏しました!
話題の新製品「nord stage3」を試奏してきました!
メーカーサイトでも既にスペック等が発表されており、大体の事は把握しておりましたが実際に触れてみるとその進化に驚きました。
余談ではございますが、今回記事を書かせて頂いておりますDTMersスタッフのFは、nordシリーズを所有する鍵盤弾きでございます!
nord stageユーザーとしてプレイヤー目線からも、注目ポイントをご紹介させて頂こうと思います。
今回で5代目となるnord stageシリーズ。これまでもアップデートを重ね進化してまいりましたが、nord stage3はどう変わったのか…。
極端ではございますが全てが進化してます!具体的に掘り下げていきましょう!
nord stage は、オルガン・ピアノ・シンセが独立して動いており、瞬時に音色やパッチが切替らえられるライブパフォーマンスに特化したキーボードです。
しかし、これまでのnord stageシリーズでは、エディットしたパッチを切り替えると音が途切れてしまったり、多数エディットして、いざその音色を使おうにも何処に保存したかがわからなくなってしまったり、楽曲内で切り替える音色が順番に並ばないなど、ライブパフォーマンスでは重要な部分で不便さを感じた方は多いはずです。
nord stage3ではその問題が解消されました! それが「ソング・モード」です。
パッチを切り替えても音が途切れないなど事前情報でも注目の機能の一つでしたが、実際に触ってみるといかに便利な機能かがわかります。
1ソングに5「プログラム」を保存できます。5「音色」ではなく「プログラム」です。
エフェクトやスプリット、レイヤーなど、nord stage3をフル活用してエディットしたプログラムを、1曲あたり5個保存できるのです。これはすばらしい!
あれ?っと思った方は、恐らくこれまでのnord stageでも似たような事ができなかったっけ?と思われたかと・・・。
nord stage3 の凄さはここからです。「ソング毎」にエディット内容を保存できるのです。
つまり、楽曲「A」に5プログラム、楽曲「B」に5プログラム・・・と言うように、楽曲毎にエディットした内容を5個保存できるので、先述の「楽曲内で切り替える音色が順番に並ばない」ストレスから開放されるのです。パッチチェンジ時の音切れもありません。
ツアーやライブ毎に曲順が変わる事は当然起こりうることですが、それも問題ナシ!保存した曲の並びを「A」「B」「C」→「B」「A」「C」の様に変更できるのです。各ソング内のプログラムは保持したまま曲順だけを入れ替えできるので、突発的に曲順が変更になる現場でも心強い機能ですね。
もう一つ、nord stage3の機能ですばらしい点は、スプリット時のクロスフェード・オプション機能です。
通常、スプリット時はスプリットポイントを境に音色が切り替わるのですが、nord stage3のクロスフェード機能は、隣同士の音色(プログラム)がスプリットポイントを境にクロスフェードします。
どういう事か。 例えば、低音域側に「オルガン」、高音域側に「ピアノ」をスプリットしたとしましょう。
通常は、スプリットポイントで「オルガン」と「ピアノ」が分かれてるので、高音域から鍵盤を下っていくとスプリットポイントで突然「ピアノ」から「オルガン」に切り替わります。
nord stage3 のクロスフェード機能は、スプリットポイント付近に下ってくると少しずつ「オルガン」の音が混ざってきます。そしてスプリットポイントを通過して下っていくと、「オルガン」が鳴りつつ「ピアノ」が少しずつ消えていきます。つまり、スプリットポイントを起点に、「オルガン」と「ピアノ」がクロスフェードしているのです。鍵盤を上るとこの逆になります。
スプリットポイント付近では一時的にレイヤーする感じですが、レイヤー感は無く「スプリット」として違和感無く機能していると体感しました。このクロスフェードは範囲を大きく取ったり、狭めたり、またはOFFを選択できます。
これにより、うっかり隣の鍵盤(音色)に突入して違う音色を弾いてしまったり、スプリットポイント付近でもう少し隣の鍵盤に行きたいといった際も、不自然なくパフォーマンスが出来るようになりました。
また、nord stage3 は、各セクションのKB zoneを4分割できるので、4スプリットさせる事が可能です。
この時、各セクション毎のKB zoneは非常に狭くなりますが、クロスフェード機能を活用する事で隣のzoneに進入してしまっても、問題なく演奏できるようになりました。
更に、各スプリットポイント毎にクロスフェード機能を設定できるので、実際のスプリット範囲よりも広く鍵盤を使えると体感しました。
ここまででも、nord stage3 がいかに凄いかがおわかりかと思いますが、各セクションも紹介していきましょう。
今回、C2Dオルガンのエンジンが搭載されました。これにより、更にオルガン演奏にも特化したキーボードへ進化したと言えましょう。パイプオルガンも2種類追加されています。
スロットのA、Bを活用すれば、オルガン2音色をスプリットさせる事も可能です。2段オルガンのような使い方ですね。
Compactモデルでは物理ドローバーが搭載され、オプションでハーフムーンスイッチも取り付けできるので、オルガンキーボードとしてもすばらしく仕上がってます。
オルガンセクションでは鍵盤の発音ポイントを深い所か浅い所かを選択できるので、浅く設定すればウォーターフォール鍵盤の様に超絶速弾きやグリッサンドも容易になります。
注目ポイントは「LAYER」音色です。
ピアノ音色を元に既にレイヤーされた音色がプリセットされているので、通常ピアノとシンセを組み合わせて作るような「ピアノ・ストリングス」のような音色が、ピアノセクションだけで出ます。
これによりシンセセクションを使わずに済むので、「ピアノ・ストリングス」+「シンセ」が可能になりました。スロットのA・Bをフル活用すると更に音色に厚みを出す事ができます。
また、フィルター機能を使うと、EQ補正しなくても簡単にピアノ音色にEQをかける事ができるので、ソフトピアノや、ブライトピアノなど、イメージを瞬時に変えることができます。
キーボーディストにピアノ音色は欠かせませんが、nord stage3ならピアノ系で困る事はないでしょう。
nord lead A1のエンジンを搭載してます。nord lead A1がそのまま搭載されているのかと思いきや、実機には無いSuper waveという波形が入っていたり、OLEDディスプレイが設けられているなど、音作り面でとても見やすくなっています。
Super waveは今流行りの派手サウンドです。ダンスミュージックには欠かせない音色ですね。
フィルターも、デュアルフィルターなので本格的な音作りができます。
実機さながらのパネル操作ができるので、シンセサイザーとして十分に応えてくれるマシンに仕上がっています。
定番のエフェクトは殆ど搭載されており、細かい設定ができるのはこれまでのnord stageでも同じですが、ディレイにアナログモードが追加されました。
まさにアナログディレイです!これは面白いです!ディレイで発信させたり、アナログ系のシンセ音色と組み合わせてアナログシンセのようなサウンドを再現できます。
因みに、nord stage2EXまで、はLED付きのロータリーエンコーダーが多用されていましたが、nord stage3はメモリタイプのノブに変更されております。
パッチとノブの位置がずれて現在の位置がわからない状態となりますが、その点もしっかりと考えられておりました。
「MONITOR」ボタンが用意されており、このボタンを押しながらツマミに触れると、そのツマミが現在どの値になっているのかがディスプレイに表示されます。
しかも、「MONITOR」ボタンを押してる間はツマミを動かしてもパラメーターは変化しないので、ツマミの位置をパラメーターの位置までジャンプさせる事ができます。
これまでのnord stageもフラッグシップマシンとして多くのキーボーディストに愛用されてきましたが、機能面で苦戦する箇所が多々あった為、複数所有せざるを得なかった場面があったかと思います。わたくしも、楽曲内で音色を切り替える際の音切れ回避や音色の呼び出しミスを避ける為に、複数のnordを用意する現場が多々ありました。
nord stage3は、そういったパフォーマンスに直結する基本機能面が大きく進化しており、また、全てのセクションに於いてもメインマシンとなり得るキーボードに仕上がっています。
操作に関わる機能はツマミ等で全て物理的にパネル上に装備しているので、これまでのnord stageと変わらずとてもわかり易いレイアウトです。新たに搭載されたディスプレイも、必要最小限の情報しか表示されないのでとても見やすいです。
触りたい部分はツマミで操作して、見たい情報はディスプレイで確認する。そして何よりも1台で完結できる、よりパフォーマンスに特化したキーボードへ進化した。そんな印象を受けました。
ワークステーションに匹敵する程の音色エディット・プログラムができ、パフォーマンスに必要な瞬発力が進化していながらも見慣れたデザインにはnordらしさを感じます。
nord stage3 は、1台でもライブやコンサートで即戦力となるメインのキーボードになるでしょう。
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