「クラウド対応」と更なる「ストレスフリーなワークフロー」。Steinberg、Cubase 8.5 を発表!

昨冬、「VCAフェーダー」や「インプレイスレンダリング」などの新機能をまとい、Steinberg Cubaseが「8」になり1年。更なるワークフローを進化を遂げた、「8.5」が発表されました。

今回も、Steinbergが考える「ストレスフリー」を実現するワークフローの改善が目白押し。それでは、順番に新機能をみていきましょう。

 

クラウド上でプロジェクトファイルを共有、「VST Transit」。

vst transit

今や時代は、レコーディングスタジオにメンバーが集まってレコーディングをするだけでなく、あるいは、自宅でワンオペですべての作業を完結させるだけでなく、世界中にいるミュージシャンやクリエーターとクラウドで作業を進める時代に向かおうとしています。

今年の頭から、DAWのプロジェクトファイル(セッションファイル)のクラウド共有に関しては、様々話題になっていましたが、Steinbergがついに「実装」してきました。
「VST Transit」とい機能名で、Cubaseを利用する際に作成する「My Steinberg」と紐づくかたちとなります。(別途、VST Transit用にアカウント作成が必要です。)

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▲ログイン画面

画面上には、「PROFILE」「PROJECTS」「FRIENDS」の3つが表示されています。プロフィールを記入したり、ユーザーのサーチ、フレンド申請も可能。DAWのSNSといった感じですね。

ローカルに一度プロジェクトファイルを作成し、アップロードすることで作業開始となります。
「VST Transit」起動中は、トラックを追加や、オーディオ・MIDIデータの入力など、プロジェクトファイル内で行うユーザーのアクションがリアルタイムにアップロード/シンクロします。(いちいち何かのボタンを押さなくても同期します)。Project Member(承認したフレンド)とサーバー上で、編集の共有が可能になります。

サーバーの利用に関して、月間500MBのストレージ1GB通信は無料、1GB通信の制限はアップロード・ダウンロードの合計となる予定。別途、「プレミアムアカウント」が、1月中旬に提供開始で、月間5GBのストレージ20GBの通信が利用可能予定。(金額は調整中とのこと)

Cubaseには、MIDIデータやオーディオデータをリアルタイムにオンライン上で共有する「VSTコネクト」が、これまでにも搭載されていました。「VSTコネクト」は、お互いにその場にいないと作業が進められませんでしたが、「VST Transit」ではその縛りがなく、ミュージシャン通しの時間や距離をさらに縮めるものとなります。

また、世界のミュージシャンとクラウドで楽曲制作、なんていう大掛かりなものでなくても、ご自身専用のクラウドとして外出先で急に思いついた編集をノートPC等で行ったり、バンドメンバー内でCubase「8.5」を持っている人同士であれば、お互いの空いた時間に新曲の詰め作業を行うなど、いろいろ便利かもしれません。
未来を見据えた新機能を搭載といえます。

 

新VSTインストゥルメント「Retrologue II」

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Cubaseに同梱されるプラグインとして、シンプルながら分厚いサウンドが人気のアナログモデリングシンセ音源、「Retrologue」が、「II」に。400以上の音色を搭載。オシレーターが2基から3基に、LFOも1基から3基に増え、アルペジエターも強化されています。アルペジエーターで演奏するコントロールデータ(CC)を含んだままMIDIトラックに書き出しも可能。EQ実装し、より即戦力なソフトシンセに進化しました。

「Retrologue」は、先日発売されたVST音源バンドル「Absolute 2」にも付属されているのですが、そちらも「Retrologue II」に無償アップデート可能。(2015年10月15日以降にアクティベートされたユーザーが対象)

 

より効率的なレコーディングが可能な「パンチ・イン、パンチ・アウト」

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ギターの録音などでよく使う「パンチ・イン、パンチ・アウト録音」。特定の区間を指定して、繰り返し何回か録音したい時などに使う機能です。今回の「8.5では、パンチイン・パンチ・アウト区間をロケーターとは別に範囲設定が可能になりました。録音対象にする小節の少し前から再生範囲の設定が可能なので、繰り返し録音する際も、余裕をもって次のテイクに臨めます。

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▲トランスポートパネの雰囲気も少し変わった。

 

新しいコードパッド

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鍵盤が弾けない人でもコードを鳴らせる「コードパッド」。「基本コード」「パターン(アルペジエーターのような演奏)」に加え、「8.5」では、「セクション」が追加。ボイシングの変更(転回形)にはこれまでも対応していましたが、任意の音を「抜く」(鳴らないようにする)ことが可能になりました。

全体のアレンジを考えたり、各音色の重なりを整えたい時、意図的に抜きたい音というものもあるはず。今回の「セクション」の追加で、より柔軟にコードパッドを使えるようになります。

 

キーエディターのMIDI入力もさらに快適に。

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MIDIデータ入力の際、鍵盤を弾くほかに、ペンツール(鉛筆ツール)などで直接入力することもあるかと思います。キーエディター(ピアノロール)内でペンを置き、マウスを押したまま右に引っ張るとデュレーション(音の長さ)の調整がこれまでもできたわけですが、同時に縦に動かすと、べロシティの調整も行えるようになりました。今までは、音の高さと長さを入力したあと、別途ベロシティの変更をしていたところ、1回の作業で行えるようになります。ドラムエディターでも同様の操作が可能です。

 

トラック作成時にルーティングの選択が可能に。

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楽曲制作をすすめていくと、ある段階で複数のトラックをまとめて、エフェクトに送るため「グループチャンネル」を作成することがあるかと思います。
曲によっては、30トラック、40トラック以上の多数のトラックを使うこともある中、新規にトラック作成した場合、一からエフェクトのルーティングを加えていたわけですが、「8.5」では、トラック作成時に、「出力」の項目ができ、アウトプットルーティングなどをその場で選択可能になります。
昨今、トラック数が非常に多くなる傾向な中、スピーディーにレコーディングを進められる改善点です。

 

「自分の設定」を管理できるプロファイル・マネージャー(proのみ搭載)

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商業制作環境でCubaseの導入が増えている一方、ライブでCubaseを使うミュージシャンも増えてきています。自分のCubaseを他のプラットフォームで使用するケースが増えているというになりますが、環境設定が柔軟なCubaseだけあって、マクロやショートカットキー、環境設定など自分なりのセッテイングがあるかと思います。
これらあらゆるセッティングを1つのファイルに保存して、選択できるのが「プロファイル・マネージャー」です。
制作現場が変わっても、使い慣れたセッティングで、作業をすることが可能です。

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▲プロファイルの選択画面。

 


グレースピリオドについて

さて、気になるのが、いつ以降Cubaseを買ったら無償バージョンアップ対象になるのか、ですが、2015年10月15日以降 にアクティベートされた方は「8.5」への無償バージョンアップが可能となっています。ご自身が対象であるかどうかは、スタインバーグサイト内で確認することも可能です。

Cubase Pro/Artist「8」からCubase Pro/Artist「8.5」へのアップデートは、それぞれ税抜き5,000円でSteinberg Online Shop で購入できます。

「8.5」ダウンロード発売は、12/3(木)23:00~スタインバーグサイトにて開始の予定。Cubase 8.5のパッケージ版は、12月中旬の入荷を予定しています。

Cubaseへの乗り換えを検討していたユーザー様、バージョンアップを控えていたユーザー様、今こそいかがでしょうか!?

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(※正式発表前の情報をもとに記事作成しています。画面や細かな仕様はリリース時、変更となっている場合があります。)

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