-YMO楽器展1978-2015@梅田ロフト-

神戸三宮店の向原です。2015年3月27日~4月12日まで梅田ロフトにて開催されていた『YMO楽器展1978-2015』の取材に行って参りましたので様子をレポートいたします!

≪はじめに…≫
取材を快諾頂きました松武秀樹様、氏家克典様、そして株式会社ロフト梅田ロフト様、本当にありがとうございました!!

YMO楽器展は、昨年東京ビッグサイトで開催されておりました楽器フェアでも『YMO楽器展1978-2014』として開催されておりましたが、その展示内容そのまま大阪・梅田にてアンコール開催!
実はわたくし、その東京の楽器フェアでも一観客として観覧しておりましたが、まさかそれがここ関西で見られるとは思ってもみませんでした…!感激です。2回も行きました。
(うち1回は完全私用で観覧させて頂き、グッズもパンフレットもゲット!)
それはさておき、今回は「取材」でございます。気と顔を引き締め、いざ!
no1
↑スタッフパス。“トクベツ感”にちょっとテンションあがります。
今回行けなかった方へ伝わるよう、最善を尽くします…!

エントランス1F。エスカレーター前にて。
no2
↑この詰め込まれたレイアウト感。ワクワクします。

5F会場内にて。1979年LAツアー時のライブセットを忠実に再現!
一部は当時使用されていた機材そのまま!現存していない機材については同型のヴィンテージ機材を展示。全ての機材がメンテナンス済み完動品の状態で展示されています。

no3

早速目に飛び込むのはARP ODYSSEY Rev.2!細野晴臣氏が当時使用していたまさにその個体です!このODYSSEYの所有者は松武秀樹氏。ですが細野氏の手によってマーカーで曲のプリセットラインが記されております。(あれっ借り物では…?笑)つまりこのライン通りにフェーダーやスイッチを上げれば…何かの曲で使われた音が!?

no4
↑特別に近くで見させて頂きました。消えかかったマーカーラインもバッチリ激写!

KORGから復刻版ARP ODYSSEYが発売されておりますのでそれを使用して再現してみてはいかがでしょうか?

no5
↑展示会場ではこのように、セットリストが上にのっています。これはこれでCOOL!

ヘッドフォンはVictor HP-550。BEHIND THE MASKから始まるライブ。このライブではARP ODYSSEY Rev.1は使用されていなかったのでRev.1は見られず。

↓細野氏の立ち位置から見る貫禄あるODYSSEY。弾きたくなる衝動に駆られます。
no6
そしてMUSICMAN Stingrayベース。

no7
↑ストラップまで忠実再現…凄すぎます。

このベースはどんな音を奏でるのか(個体として)興味津々でしたが音は聴けず。

↓細野氏から見えた景色はこんな感じでしょうか。
no8

続いて高橋幸宏氏のブースです!

no9

結構高い位置に口径の小さいシンバルがある!バスドラム内のミュート毛布も再現!?…とか余計な事を考えてしまいました。やはり今見ても斬新なセッティングです。
あのマットな音色はここで奏でられていたのかと想像し、思わず凝視。(毛布を)

no10
↑バスドラムの上にセットリストが!YAMAHA YD-9000、Pollard System Model 477、TOYO GAKKI ULT-SOUND DS-4 1st、そしてSlingerlandスネア。マレットも使用されていたのですね。ここも叩きたくなる衝動に駆られました。

↓アンプはFender Twin Reverb。モニタリング用で使用されていたと推測。スティックが置いてあるあたりがとてもリアル!
no11

矢野顕子氏のブースへ!

no12

↑Oberheim 8 Voices。とにかくデカイし8 voises仕様のものは滅多と見ないので貴重!

no13
↑Sequencial Circuits Prophet-5 Rev.2!…の前のチューナーがキニナル。KORG WT-10A。
アナログシンセで必須のチューナーを使用した「チューニング」という作業。簡単そうに見えて、実は結構奥が深く、とても大事な作業なんです。
気温や湿度によって音程が変化してしまうので、こまめにチューニングを行う必要があります。どれだけビートが合っていてもチューニングが合っていないと下手な演奏になって(聞こえて)しまう、音楽をつくる上では非常に重要だ、と松武氏も仰っておりました。

【チューニング講座:向原式(わたしです)】
チューナーからの発音(基準音)を右耳で聴いて、左耳で合わせたい音を聴く。
そして目をつむると、音程が合っていない場合、音がうねって聞こえます。そのうねりの幅が緩やかになるように、無くしていくように音程をチューニングしていく。
慣れてくると簡単な作業ですが、普段チューニングメーターを「見て」チューニングされている方には少し難しいかも?耳を鍛える為にも是非このチューニング方法をチャレンジしてみてください!相対音感も自然と身につきます☆(経験者談)
皆さん、アナログシンセのみならずギターやベース等の弦楽器、管楽器、ピアノ、そしてドラム等の打楽器も!!チューニングはこまめに、必ず、行いましょう!

no14
↑チューナーは本当に大事。

松武秀樹氏のブースへ!

no15

YMOの音の要となる、まさに要塞のようなセッティング。Roland MC-8やMoog Ⅲ-C(通称タンス)、Sequencial Circuits MODEL-700などが厳かに立ち並んでおりました。あのケーブルの束にトキメくのは私だけではないはず!!そしてMC-8のデータロード用にSony TC-2890SDカセットデッキ(!)が。(カセットテープ、今の若い方はご存じないのでしょうか…)

Moog Ⅲ-Cにつきましては松武秀樹氏トークショーにて詳細が語られておりました。
no16

以下、トークショーより抜粋しながら記載いたします。

このMoog Ⅲ-Cは1971年に製造され、1972年に松武氏が入手されたものです。その後、一切手を加えられていないオリジナルなのですが、唯一経年劣化により電源回路だけが壊れてしまい、交換されております。もちろん電源を変えることによっても音質が変化してしまうのは否めないのですが、止むを得ず交換に至ったとのこと。

このような全てのシンセサイザーにはオシレーターという音の発信源があります。基本的に4つの波形があり、サイン波と呼ばれる時報のような丸い音、三角波と呼ばれるサイン波よりエッジの効いた音、ノコギリ波(鋸歯状波)と呼ばれる耳にささるようなキツめの音、パルス波(矩形波を含む)というゲーム音のような尖った音の4つがあります。
パルス波はファスナーの噛み合わせ部分のような四角い波形をしており、その四角の間隔をずらすことによって音質を変化させることが可能です。
すべて電圧コントロールによって音を揺さぶり変化させていきます。なのでVCOと書いてあるものはVoltage Controlled(電圧コントロール) Oscillator(オシレーター)の略なんですね。
仕組みが分かれば略語も怖くない!笑

音の発信源にはあとひとつ、ホワイトノイズというものがあります。テレビの砂嵐の音に似た、サーッという音色です。このノイズもフィルターを通してある一定の周波数帯域を増減させることによって風の唸る音や雑踏の様な音を出すことが出来ます。

つまりシンセサイザーとは、音源となるもの(音程が無くても構わない)をどのように周波数をカットするか持ち上げるか。音程を発生するものをどのように目立たたせるか、あるいは柔らかい音にさせるか。その電圧コントロールの時間的変化(うねり具合)をどのように与えてあげるか、ただそれだけなのです。
ひたすらそれの繰り返しであり、「こういう音を作らなければならない!」というものではないんですねー。ナルホド!

そう考えるとシンセサイザーには無限の可能性が秘められていそうで、胸が高鳴ります!
その中でもアナログシンセとは、「現存しない音を試行錯誤しながら自身の手によってつくりあげていく楽器」ではないかと、わたくしは考えております。

松武氏はご自身の師でもある冨田勲氏からシンセの基礎を学ばれたのですが、音色の作り方というものは十人十色。こういうことをご自身で研究され、あのサウンドが生まれたのですね。尊敬です・・・!

no17

渡辺香津美氏のブースにはこのギター達が!

↓ALEMBIC SSG(左)とAria ProⅡ RS-850(右)。白いアンプはMesa Boogie MarkⅠ、その上の青いエフェクターはMu-Tron BI-Phase。とにかく背景のハードケース含めカッコイイ…!
no18

音源として聴くことの少ない渡辺氏のギターソロですが、ライブではバッチリこのギターを使用してソロを演奏されています!!私物のMesa Boogieアンプをわざわざツアーへ
持って行くほど、このアンプの音色が気に入られていたようです。
グリークシアターではこのアンプの他に珍しいMoogのアンプが使用されていたとのこと。
(YMO楽器展2014パンフレット参照)

最後に坂本龍一氏のブースのご紹介です!ド定番のこのカタチのセッティング。今もなお憧れのスタイルです。

左手にRoland VP-330、右手にSequencial Circuits Prophet-5、背後にエフェクターラック、そして正面にARP ODYSSEY Rev.2、Rev3とMoog Polymoog!
使いこなせる自信は皆無ですが、やってみたいですね!(画像では客席側から撮影した為、前後左右が反転しております)

no19

↓ODYSSEY 2台がベルトで固定されています。その下にPolymoogが!
no20
【Moog】をムーグと呼ぶかモーグと呼ぶかで年齢がバレちゃいます。笑
正しくは、開発者の名の発音通り「モーグ」と発音するのが良いそうです。でもこれは「ポリムーグ」だっ!「ポリムーグ」と呼びたいんだっ!!

↓坂本氏の見た景色、なのでしょうか。
no21

↓Prophet-5二度目の登場。こ、このサインは…!かわいい顔つき!?
no22

↓VP-330の上に乗った黄色いMXR Stereo Chorus。
逆さに向いて黒ガムテープで取り付けられているのがミソ。ツマミがすぐ触れますね。
no23

↓松武氏によるデモンストレーション!
no24
「♪T・E・C・H・N・O・P・O・L・I・S、TOKIO~♪」とボコーダーでTechnopolisを歌い上げる松武氏…!生Technopolisに感激!この「TOKIO~」の「KI」の部分でピッチベンドをかけるのが結構難しいとのことです。知らなかった…!

↓エフェクターラック。緑色をしたテープエコー、RE-201。非常にあたたかく揺らぎシブイ音を奏でますね。現行生産品のBOSS RE-20もなかなかの再現性がありオススメです。
no25
↑この青いエフェクターラックケースも当時のものそのままです。松武氏の手によってエフェクトサウンドを聴くことができました。貴重な体験です。
別名「YMOディレイ」とも呼ばれるアナログディレイ、YAMAHA E-1010(いーてんてん、と読んで頂きたい)もありました。

no26

no27
↑最後に一緒に写真に写っていただき、今回の取材は終了!

もうわたくし緊張しすぎてリアルに鼻血がでるかと思いました。
お目通し頂き誠にありがとうございました。

おすすめ