【特集】ディストーションギターの低音も気持ちよく響く|ミュージシャンの自宅に最適なスピーカーNEUMANN「KH 80 DSP」

楽曲制作やレコーディング、ミキシングなど、音楽制作全般においてその重要性が非常に高い機器がモニタースピーカーです。昨今話題となっているモニタースピーカーが、ドイツNEUMANN(ノイマン)社の発売した「KH 80 DSP」。マイクの老舗として有名な同社が発売したスピーカーなのですが、長い歴史に裏付けられた確かな開発力が生み出した新定番としてミュージシャンやエンジニアの間で話題になっています。

NEUMANNブランドということで業務用・スタジオ用として捉えられがちですが、実際は自宅での音楽制作にも適したコンパクトなモニタースピーカー。その魅力を紹介していきます。

 

ディストーションギターの低音がズンズン来る豊かな低音

 

スピーカーの低音再生能力はとても重要で、どの程度低音が再生できるかはスピーカーユニットのサイズである程度決められてしまいます。しかし大型になれば当然設置スペースも必要であり、部屋に対して大きすぎて能力を発揮できないという問題に直面します。故に自宅用として採用されるモデルは低音とサイズの妥協点である5インチのスピーカーが人気です。

バスドラムの「ドスっ」とした低音や、ディストーションギターのブリッジミュートの際の「ズンズン」とした低音。これらを感じ取るために5インチが必要だったと言えます。5インチ未満のスピーカーを使う場合、足りない分はヘッドホン等で補いながら制作を行うしかありませんでした。

しかし「KH 80 DSP」のウーハーは4インチ。低音再生能力に期待せずに再生してみると、見事に裏切られます。ギターが「ズンズン」来るのです。

これらの低音は100Hz以下の帯域に多く含まれています。様々なスピーカーの周波数特性(再生できる音の範囲)を見てみると、5インチモデルであっても100Hz以下が十分に再生できるスピーカーは多くありません。これに対し「KH 80 DSP」は57Hzという超低域から再生できるというスペックを示しているのです。

その理由はスピーカーユニット、そしてユニットを収めるキャビネットの設計にあります。マイクの設計で培われた技術が惜しみなく投入され、独自のロングスロー・バス・ドライバーや独自設計のバスレフポート等によってコンパクトながらも豊かな低音が再生されます。

4インチウーハーであるためコンパクトなサイズを実現しており、345 x 277 x 243mm(H x W x D)、4.1kgとなっています。5インチスピーカーよりも高い設置自由度を持ちながら、より豊かな低音を実現したスピーカーと言えます。完成度の低いミキシングの多くは低域の作り込みが甘いことが原因。さらに作り込みが甘い原因は、多くの場合そもそも聞こえていないことに起因します。「KH 80 DSP」によって低域が見えるようになれば、これまでに作った作品の欠点も顕になるかもしれません。

 

広い横方向のスイートスポットが生み出す自由

 

緻密な計算による設計の恩恵は音質に留まりません。「KH 80 DSP」のキャビネット形状は音の反射・回析(回り込み)が緻密に計算されたもので、結果として縦方向は狭く、横方向は広いスイートスポットを実現しています。

スピーカーの音が正しく聞ける範囲は限られており、正しく聞くことができる場所(位置)がスイートスポットと呼ばれています。例えばスピーカー正面ではきらびやかな高域が聞こえるのに、少し横に動くと違うスピーカーになったように高域が聞こえなくなるのはスイートスポットから外れているためです。

KH 80 DSP」は音楽制作を熟知したNEUMANNの設計により、縦と横で異なる音の広がりを持っています。縦は角度を限定することで机などの反射を減らし、音の変化を防いでいます。一方で横は広い角度で音が聞けるようになっているため、少しくらい横に動いても音の変化が少ないのです。

もともとはレコーディンスタジオ等のコンソールに適応するための仕様ですが、自宅でも有益。例えばギターレコーディングを行う際に制作デスクから離れる、キーボードを演奏するために左右に動くなど、スイートスポットから離れても音質の変化が少ないので、気持ちよく演奏することができるでしょう。

加えて、背面の「ACOUSTIC CONTROL」スイッチによってスピーカーの特性を変化させることが可能。設置してスイッチを変更し、最適なセッティングを行うことができます。

 

キャリブレーション機能で進化するスピーカー

 

キャビネット、ユニットともに緻密に設計されたスピーカーであることはおわかり頂けたと思いますが、「KH 80 DSP」はさらに進化することができるスピーカーなのです。

モデル名にもある通り、本体にDSP(Digital Signal Processor)という演算装置を搭載しており、入力された音にデジタル上で音声処理を行うことが可能です。このDSPを活用し、部屋の音響特性にあわせた音に自動調整する機能が「キャリブレーション機能」です。

別売りの測定用マイク「MA 1」を使用しているオーディオインターフェースに接続。さらにパソコンとスピーカーをLANケーブルで接続します。パソコンの専用ソフトウェアの指示に従って出力される音を「MA 1」マイクで計測するとどのような音にすればいいかを自動的に計算し、その結果を「KH 80 DSP」に記憶させるのです。

「キャリブレーション機能」によって得られる音はまさに衝撃で、自宅にいながらレコーディングスタジオのような音が聞けると言っても過言ではないでしょう。これまでは緻密に設計された音響空間でしか聞けなかった音が聞こえるのです。一度聞いてしまうと他の選択肢が考えられなくなるほどのインパクトがあります。
整えられた音で制作すれば自ずと完成する作品のクオリティは向上します。制作中の音と完成した作品の音の違いで苦慮している人にはうってつけのモニタースピーカーとなるでしょう。

もちろんキャリブレーション機能があるからといって適当に設置して良い訳ではありません。安定感のある場所に設置し、向きや高さを整え、壁面の反射を抑えるなど、基本的なスピーカーの置き方は押さえておきましょう。さらに感動的なモニターサウンドを楽しむことが可能になります。

MA 1」は別売りですが、「KH 80 DSP」とセットになった「Monitor Alignment Kit 2」という製品がありますので、これから購入する方はセットを選ぶと良いでしょう。また、EDMなどさらに深い低音再生を求める場合は「KH 750 DSP」という専用のサブウーハー(低音専用スピーカー)もラインナップされています。制作する音楽のジャンルや置き場所の自由度にあわせて選択すると良いでしょう。

キャリブレーション機能無しでも高い性能を誇るスピーカーですが、キャリブレーション機能によってポテンシャルが開放され、進化します。「MA 1」とセットで導入されることをお勧めします。

自宅にいながらレコーディングスタジオのような音。モニター環境に悩んでいる人は導入してみてはいかがでしょうか。

【NEUMANN / KH 80 DSP】
■発売日:発売中
■税込価格:71,500円(1台)

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